2003年。ノストラダムスの大予言や2000年問題の記憶もすっかり薄れ、なんの代わり映えもない日常を重ねていた。
そんな、蒸し暑い初夏のこと。

雨を降らせることができる少女……雨衣は、町の人々に忌み嫌われ、孤独な生活を送っていた。
そんな彼女の元にやってきた主人公は、その恐怖を共有できる唯一の理解者となっていた。

二人で過ごす日々はあっという間に過ぎゆき、晩夏。
幸せだった田舎町での生活に、小さな陰りが見えはじめる。
彼女は自分が『呪われた魔女』であることを思い出し……。

天気雨が止んだ時、濡れた彼女は歩き出す。

2003年、夏。
祖父母の遺品を片付けに田舎町に帰ってきた支倉貴之は、寂れた廃バス停で一人の少女と出会う。
「雨衣」と名乗る少女は坂の上の廃墟に幽閉された、町の人々も恐れて近寄らない“呪われた魔女”らしい。

しかし彼女はただ、「わたしにできるのは、雨を降らせることくらいですよ」と笑うだけで……。

雨の滴る少女と過ごす、真夏の数週間。
濡れた彼女と出会う日は、いつも雨が降っていた。

友近達也は、周囲の“主人公”と“ヒロイン”をくっつけるために日々奔走する“友達”キャラクター。
そんな運命に嫌気がさした彼の元に、“お助けキャラクター”を名乗る少女が現れる。

「聞かせて。あなたの望みは、なに?」
「一度でいいから……俺も“主人公”になってみたい」

「……なら“主人公”から“ヒロイン”を寝取ってしまいましょう?」

“友達”キャラクターによる復讐劇が、いま始まる……?